酔拳の王　漫画の方

ヤンデレ会議で（http://d.hatena.ne.jp/makaronisan/20070320/1174327699）長とﾟーさんがあげてた、病んでるキャラの夜神ライト。


　ごく普通の人間がデスノートを拾った時に、「僕が認めた良い人間だけが生き残る世界を作る。僕は新世界の神になる」などと言い出すだろうか？　答えはNOだ。現状に満足している人間が、初めからそんなことを考えるとは想像しがたい。
　普通の人が使用した場合は、　火口のように自分の利己主義に使い自滅していったり、のび太のように自分に恐怖してしまう。（ドラえもんに独裁者スイッチというものがある。名前を言い、スイッチを押すとその人間そのものの存在が消えていく（死ぬわけではなく、初めからいなかったものとして世界が変化する）というもの。　のび太はいつものごとくいじめられて、独裁者スイッチを使用し、そのあまりの効果に恐怖する。）


　では、「新世界の神になる！」と初めから宣言するタイプの人間はどういうものかを考えると、抑圧されていて、自分の欲望が達成できず、世界に不満を持っている人間だろう。　しかし、一般的に見て夜神月は、こういう不満からもっとも遠い人物であるといえる。　成績優秀、運動抜群であり、さらに容姿端麗で当然モテる。父親も刑事局長（Ⅰ種キャリア）、一戸建ての家に住み、両親の仲は良好で、可愛い妹もいる。　書いていて嫌になるくらいの幸せ家族っぷりだ。　こんなにも充実している人間が世界に不満を持っているとは考えにくい。　


　それなのになぜライトはあんなに歪んだ人間になってしまったのか？それは名前がDQNネームだったからだ。

　父は総一郎。母は幸子、妹は粧裕。　夜神は珍しいが苗字であり、他は一般的な名前だ。　この中で、「月」だけものの見事に浮いている。しかも当て字で「ライト」、典型的なDQNネームである。こんな名前も持ってしまった人の子供時代を考えてみよう。　

　まず小学１年生だ。これから友達１００人できるかな？　なんて考えながら初めての学校、初めてのクラスで自己紹介だ。　みんなが名前を呼ばれていき、次々と自己紹介が終わり、軽くダレ始めた終盤での自己紹介がはじまる。　「や」のため、渡辺さんや吉田くんがいないクラスなら最後かもしれない。

先生「じゃあ次は、夜神・・・つきくん？」
ライト「違います。ライトです。　夜神ライトです。ライトって呼んでください」
クラスメート「・・・ざわ・・・ざわ・・・　ライト？・・・懐中電灯？・・・ざわ・・ざわ・・」　
ライト「懐中電灯じゃない、、ライトだ」
クラスメート「ちょｗｗｗおまｗｗｗなにそれｗ」

圧倒的疎外感である。あだ名は１０中８・９　懐中電灯で決まりだ。


　さらにその後、ライトという字が月であるとわかったとき、「月に変わっておしおきよ」が流行ったのは想像にかたくない。ライトが生まれたのが1986年（アニメだと1989年）、セーラームーンは1992年3月から1997年3月まで放映され、最高視聴率16.3％、平均視聴率11.6％をたたき出した大ヒット番組である。　おそらくクラス委員をやっていたであろうライトが何か言うと、「月に変わってお仕置きされちゃうー」といじられただろう。


　そんないじりを受けたとき、模範的良い子であり、負けず嫌いであった少年のとる行動は、超人を目指し自分を磨き上げていくしかなかったのだろう。ジェロニモのように。　幸か不幸か月には資質があり、パーフェクト超人になれてしまった。　中学時分には、「漫画の登場人物みたいな人だよね」と、みんなに噂されるようになっていただろう。半分は憧れで、もう半分は嫉妬とやっかみで。　努力し実績をあげていくも「月」というDQNネームの抑圧は静かに続いていく。


そして夜神月はデスノートと出会ってしまった。　今までの名前のせいで、完璧になろうとしてもなれない抑圧、負けず嫌いなのに言い返せない抑圧が解放されるときである。　そうして彼は言うのだ


「僕は新世界の神になる！！」


　

教訓
子供に面白ネームをつけるのはやめましょう。